マーケティングテクノロジー(MarTech)の影響④「プログラマティック広告」

2019年8月20日

MarTechには、マーケティング成果を大きく左右する5つのテクノロジーがあります。
1. マーケティングオートメーション
2. モバイルアプリケーション
3. 人工知能(AI)
4. プログラマティック広告
5. マーケティング分析
これらがもたらす影響と利益について探っていきたいと思います。

前回は3つめの人工知能(AI)についてご紹介しましたが、今回は4つめのプログラマティック広告についてです。

4. プログラマティック広告

広告がデジタルの分野で成果を上げています。その中でも最も大きな割合を占めるのが、データに基づいてアクションを判断するデータドリブン型で自動化されたプログラマティック広告です。

米アドエイジ誌は、「プログラマティック広告が伸びている理由は、広告取引がより効率的になるからだけでなく、その効果が上がるからです。もちろん適切なデータを利用していればですが。」と指摘しています。

プログラマティック広告の市場規模は、今年400億ドルに達します。これはディスプレイ広告費用全体の75%にのぼります。2014年は49%ですから、その成長率の高さが分かります。

プログラマティック広告は、プライベートマーケットプレイス(以下「PMP」)と共に進化し続けています。PMPとは、優良サイト運営者の広告枠を、限定された広告主と直接取引する招待制の広告市場です。

プログラマティック広告とは

プログラマティック広告は、ソフトウェアとアルゴリズムを駆使して広告を打つことができ、従来の対人交渉や広告枠の選定を必要とするRFP型のプロセスとは対照的です。

広告の購入及び配信プロセスが効率的になるだけでなく、費用も安く抑えられます。トレーダーは、代行サービスのトレーディングデスクや広告主に用意されるデマンドサイドプラットフォーム(以下「DSP」)を用いてキャンペーンを最適化したり戦略を立てたりします。

現在プログラマティック広告の掲載媒体は主にウェブですが、英国のSkyやJCDecauxといったメディア企業は、テレビやデジタルOOH等の「従来のメディア」を使ったプログラマティック広告を打ち出す方法を模索しています。

プログラマティック広告の仕組み

プログラマティック型の広告取引はリアルタイムオークションを通して自動で行われるため、所要時間はウェブページの読み込み時間以外ほとんどありません。ただし広告主は、サイトのカテゴリーのみを指定し、どのサイトに表示されるかは分かりません。

オープンエクスチェンジでは誰でも参加できるため、オークション内で複数の広告主が複数の広告インベントリに入札し、落札者の広告が表示されます。

またリアルタイム入札(以下「RTB」)により、サイト運営者は自分たちの情報に頼ることなく、ターゲティング広告ができます。そのため広告費用やアクセス量などについてサイト運営者と直接交渉する必要がなくなりました。
さらにRTBのおかげで、広告主はカテゴリー所有者のサイトだけでなくさらに広範囲な広告枠にもアクセスできます。広告主にとって最も有益な広告枠のみを選ぶことができるのです。

PMP

数年前まで、広告主が利用できる広告枠は、いわゆる「ブラインド」または「オープン」取引市場でした。しかし、最近では、従来のサイト運営者がPMPでの広告枠を提供しています。PMPは招待制のRTBオークションであり、1つまたは複数のサイト運営者から招待されたバイヤーのみが広告枠に入札できるシステムです。

PMPの利点は、落札した広告枠の透明性であり、広告が掲載されるサイトを正確に把握することができます。ほとんどのPMPでは、DSPを介しているため、最適な広告枠に直接アクセスすることが可能です。広告取引はオークション環境内にありますが、オープンエクスチェンジとは違い取引条件はバイヤーとサイト運営者の間で事前に交渉されます。しかしRTBと同様に、データを利用して入札プロセスが最適化され、購入についても10インプレッションや100万インプレッションなど、自由に購入することができます。PMPを利用することで、直接購入するよりも低価格で最適な広告枠の取引ができるのです。ただし、PMPの短所は、オープンエクスチェンジやオープンネットワークに比べ、1インプレッションあたりの費用が約4倍から5倍高いことです。

プログラマティックダイレクト

プログラマティックダイレクトとは、比較的新しい広告枠の購入手段です。これは、サイト運営者-仲介業者-広告主という従来の方法を利用して、サイト運営者が広告枠を直接販売する方法です。これにより広告インベントリの購入を保証することができますが、買い付けはDSPを介します。いわば、従来の広告購入とRTBではない購入の仕組みを組み合わせたようなものです。プログラマティックダイレクトの利点は、サイト運営者のテイクオーバー広告枠といった効果的な広告枠を固定価格で購入でき、さらにインプレッション数も保証されることです。この手法は、ブランドセーフティ、広告枠の管理、広告の配置を重視する企業に最適です。

データの最適化

プログラマティック広告とデータ管理プラットフォームにより、マーケターはすべての広告キャンペーン情報を集中管理することができます。データの管理と分析をしやすくすることで、キャンペーンのコンテンツ作成、ターゲット設定、最適化を促し、結果的にはより多くのターゲットユーザーにリーチしROIの向上にもつながります。

例えば、すべてのオンライン広告キャンペーンの効果について、1つのダッシュボードで管理することができます。クリエイティブのA/Bテスト、オーディエンスのプロファイリングといったものから、広範囲のリーチ、認知度、クリックスルー率などに対する最適化、さらにフォームへの入力、購入まで可能にします。

ほとんどのDSPは、莫大な数の変数とデータポイントを使用して自動的に最適化することができ、必要に応じて数十億までグローバルデータポイントを拡張することができます。

しかし、データのみが重要な訳ではありません。そのデータを元に、オープン、プライベート、ダイレクトを使い分け、キャンペーンを最適化できるトレーダーがいるかどうかも重要です。さらに、ターゲットとする「オーディエンス特性を理解」していることも必要な要素です。

プログラマティック広告の活用に向けて

プログラマティック広告、ソーシャルメディア、マーケティングオートメーション、及びビッグデータは、マーケティングにおいてその重要性をますます高めています。これらすべてにおいて成功するには、データドリブンが鍵であり、また成功に向けて舵を切るにはDMPが必要です。ただし、データの適切な利用(透明性、説明責任)も欠かせません。

これらのツールと手法を利用して、広告とマーケティングをこれまでよりも利益創出につなげてください。

次回は5つめの「マーケティング分析」をご紹介します。

これはインパクトMが所属するBBNの、Buzz Magazineの記事を翻訳して掲載しているものです。

上部へスクロール