企業のマーケティング活動において切っても切り離せないROI。今回はROIを算出する計算式を取り上げる。
まずその前に、ROIの基本的な考え方を確認する。
Content ROI should be calculated at the program level first. There is no inherent ROI of “content marketing.”
Rather, you have an ROI for each program that can then be rolled up to determine an overall ROI.
参照元:”A Field Guide to the 4 Types of Content Marketing Metrics”
特にマーケターの頭を悩ますのは、コンテンツマーケティングのROIだ。マーケティングのROIは施策ごとに算出すべきもので、「コンテンツマーケティング」特有のROIは存在しない。
むしろ、それぞれの施策にROIがあり、それが最終的にまとまって総合的なROIを決定づける。
重要なことは、施策それぞれでROIを出していくことだ。では、それぞれの施策における具体的なROIを計算するにはどうすればよいのか。以下に、ブログ運営を取り上げたROI計算のケーススタディーを紹介する。その結果を自社で行った複数の施策間で比較してみる。
この記事の目次
ステップ 1: コストを計算する
1.コンテンツを作成するスタッフ(社員もしくは委託者)への支払い時給に作成所要時間をかける。
2. 上記の結果に諸経費要素をかける (オフィス賃貸料、保険料、設備費など。通常支払い時給の50%程度なので、時給20ドルの社員[年俸40,000ドル] であれば、実際は経費込みで時給30ドルと算出)。
3.デザイン料金、サーバー料金、各種加入料金、 ソフトウェア料金等、その他すべてのコストを加える。それらを具体的にコンテンツプログラム、もしくは毎月の償却分として配分し、各コンテンツプログラムに均等に割り当てる。
例:
ある会社のブログ作成に、 40時間/月、40ドル/時間 (50%の経費を考慮すると実質60ドル
時間)かかるとする。デザイン料1,000ドル/月、サーバー料100ドル/月、その他費用100ドル/月を加える。
月あたり実質ブログコスト= 3,600ドル
ステップ 2: 収益を計算する
月あたりのブログからの会員登録者数(lead)に登録者換算レート(lead conversion rate)、平均生涯顧客価値、平均利益率をかける。
例:
企業ブログから25件/月の会員登録がある ( 登録フォームやCRMシステムなど)。
換算レート20%で、5件の新顧客を獲得。平均3,000ドルの生涯顧客価値で、平均利益率30%とする。
月あたり実質ブログ収益 = 4,500ドル
ステップ 3: ROIを計算する
収益からコストを引き、コストで割る。
例: 4,500ドル-3,600ドル=900
900÷3,600=0.25 ROI=25%
しかし、上記のことをやろうとしてもデータ不足によってできないことも多い。
そこで、相関アプローチというものがある。大まかに言えば、「売上げの波と、マーケティングで取得した指標の波が似ているよね。だからセールスに貢献しているんですよ」というアプローチだ。以下にそのアプローチを紹介する。
相関アプローチの効果的利用のために・・・
・ 長期的なデータトラッキングが必要
・ PRカバレッジ、ウェブサイトのアップデート、新ラジオキャンペーンなど、あらゆる変更点を記録しておかなければならない
・ 会員登録総数、新顧客数、平均オーダーサイズ、顧客の購入頻度、総収益など、複数の収益データポイントをトラッキングしなければならない。
・コンテンツが機能していることを示すインジケーターパターンが必要。たとえば、「収益が増加すると、コンテンツの消費、シェアマトリックスも上昇する」
相関アプローチは必ずしも科学的ではないが、説得の材料や、傾向把握のためには有用と考えられる。
コンテンツは手段であって目的ではない。
われわれの目的は、素晴らしいコンテンツを作成することではなく、コンテンツによってより良いビジネスを行うことである。ビジネスの達成度でコンテンツが評価されるため、ビジネスの達成度を測らなければ、コストの無駄遣いをし、リターンにつながらない資金運用となる恐れもある。
筆者もコンテンツに悩むばかりに本質を見失ってしまうことがある。
Content is the means,not the ends.
(コンテンツは手段であって目的ではない)
The DJ doesn’t sell drinks.
(DJはドリンクを売るわけではない)
データの分析やデータの追跡が、ビジネスを意識しつづける方法であり効果的なコンテンツ制作のスタートでもあると考えられる。